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神の秘められた計画

酪農学園大学の荒木和秋教授の講演とメノヴィレッヂのエップ夫妻から手渡されたニーン夫妻の講演要旨で私が教えられたTPPの問題点は、自由競争を 原則とする資本主義社会の行き着く当然の帰結だろう、ということでした。ほんのひと握りのアメリカの巨大な多国籍企業が利益を独占する為に太平洋を取り巻 く諸国に市場の開放を要求している。私たち農民の目には国内の食糧市場が外国に荒される問題としか映りませんが、巨大企業が求めているのはもっと大きな、 学校給食や医療、金融などを含む、我が国のあらゆる公共事業に参入する権利であり、それを社会のシステムとして確立しよう、という戦略でした。

しかし、それはまた、封建社会であろうと共産社会であろうと、個人の欲望の充足を追求する「世」の人々の不変の生き方の帰結でもあろう、と思いま した。強制され抑圧される不自由な世の中より、個人の自由が保障された世の中の方が暮らしやすいと誰でも考えます。しかし実際には、この世の自由は強者に とって有効な武器にすぎないようです。

地球は狭くなり、民族として国家としての独立を保持することが難しい時代になりました。私たちは今こそ価値観の根本的転換を図らねばなりません。 競い合い奪い合う欲望に基づく生き方から与え合い仕え合う愛に基づく聖書的生き方への転換です。個々人の生き方の転換に始まって社会構造の変革に至る聖な る戦いを始めなければなりません。

パウロはそれを「神の秘められた計画」と表現しています。この計画は天地創造以前に既に決められていて、キリストが歴史上に登場するまで隠されて いました。それは、異なる者が互いに愛し合ってひとつになる、という神の創造目的で、キリストの十字架の贖罪も、欲の束縛から解放されて神の愛に仕える者 になる為に必要不可欠な条件整備だったのです。私たちは自分を愛する欲求から自由になって初めて隣人の為に命を棄てることが可能になります。我を忘れて他 人(ひと)に尽くす隣人愛は生来の私たちが持ち合わせない神からの一方的な贈り物なのです。私たちにそれが可能になって初めて「神の秘められた計画」は実 現し、神の国が私たちの実生活の中に到来します。ギリシャ人はギリシャ人として文化や歴史もろとも尊重され、その個性のゆえに必要とされ、全体の大切な一 部を構成する。ユダヤ人はユダヤ人として同様に尊重され、必要とされ、全体の一部を構成する。そのようにして老いも若きも男も女も健康で働ける人も病床に 伏す人も皆互いに相手の必要を補い合ってひとつの共同生活体を営む。それが神の創造世界の到達する理想の姿です。

私は聖書をそのように読み、惠泉塾という形で実践して16年になります。15万坪の敷地と70人の共同生活は実に恵み豊かで平和です。絶えざる成長・発展です。主に感謝します。