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4月 Boys be ambitious! ~ 余市惠泉塾で始まった若者の集い ~

 「心病む人は能力や人格が劣っているように見える。しかし、本当は人並み優れた人が多く、もし、病気が治

れば立派な仕事をする魅力的な人たちだ。自己卑下して劣等感に苦しんだり、理解者が得られず孤独に陥ったり、高い理想に届かぬ自分を責めたりするうちに神経がボロボロになって、頭や心が固まってしまう。固い土壌では作物が育たないように、柔軟性を失った頭や心では人の命は育たない。神経を休めるために、農作業やスポーツで思い切り体を動かすと柔軟性を回復する。心の癒しはこの『柔軟性の回復』にある。  また、これまで、心を病んで生きる力を失ったと思っていたが、実際には、病んでいる間に考える力を育てられなかったか失うかして、思考力が不足して自力で生きられないという場合が多いことが分かってきた。そこで『考える力を養う』ことをしたい。第一に、人生の大先輩の生き方に学ぶ機会をたくさん設ける。第二に、力ある文章を読み味わう。第三に、共通関心事についての話し合いを深める。第四に、時代や社会の状況を踏まえた自分史(証)を書く。第五に、優れた芸術や文化、歴史的建造物などに触れる。」  これは、「若者の集い」をスタートするに当たって参考にさせていただいた、水谷先生の10年以上前のニュースレター掲載文である。今年度のテーマは「学ぶ楽しさ 生きる喜び」。対象は塾生のMさん、Oさん、Sさん、Kさん。そのうち、Mさんは開塾後まもなく調子を崩した。慣れない環境で溜まったストレスが「暴走」「爆発」し、やむなくS病院に入院。遠方から両親を呼び寄せて経過を報告した。そして、すでに体験済みの父親に代わって今度は母親が惠泉塾体験のためにやって来た。  Oさん、Sさん、Kさんの3人は、昨年度この共同生活を経験していることが適応をスムーズにさせたようだ。そして、父親または母親同伴で来塾し、一緒に信仰を生活することを訓練している。このことがとても大切だ。なぜなら、子どもも親も共に神中心の生活に変わることが問題解決の鍵を握っているからである。  子どもの心にある最も大きな感情は「怒り」。処理し切れない怒りが心身を破壊するほどの衝撃力で人間を苦しめていることを私たちは幾度も目の当たりにした。親への怒り、大人への怒り、学校や社会への怒り、あらゆる被造物への怒りが負のエネルギーとなって荒れ狂い、本来の神に造られた姿から遠く彼らを引き離している。  Oさんの塾日誌にこう書かれていた。「今の神経過敏は過去の思春期に受けた心の傷に根差しているから、その傷を癒やし、完全に取り去ってくださるよう、祈り求めていくことが神の御心に適っていると思う」。初回の「若者の集い」の感想を聞くと、「自分の内面を深く掘り下げる学びができた」と言う。話を聴き、文章を読み、DVD等を観て吸収することが「理解」の面、そこから学んだことや感じたことを相手に伝えるために話をし、書くことが「表現」の面である。正しい「他者理解」と的確な「自己表現」ができることは、愛し合う人間関係づくりに欠かせない。それぞれの問題解決にもつながっていく。 この9ヶ月間はそのための人生道場入門期間である。そう言えば、クラーク博士が札幌農学校に在任した期間も8カ月、内村鑑三ら第2期生が入学する直前に契約期限は満ちた。そのとき、クラークが馬上から残した「Boys be ambitious!(少年よ、大志を抱け)」を、今年の若者たちにも送りたい。