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7月 余市惠泉塾の文化を丹波へ…10年目の愛の花実

 やがて20年を迎える惠泉塾には“文化”がある。清貧、貞潔、従順、の純然たるキリスト教精神が生んだ文

化、神中心の生活共同体を志向する文化である。一歩外に出れば、正反対の文化、人間中心の文化が渦巻いているからこそ、守り育てるに価値のある、神にとって大いなる喜びの文化なのだ。  これを、利潤追求が目的の企業に適用したらどうだろうか? 惠泉塾の働きから生まれた㈱ヴィタポート「丹波の宿 恵泉」はこの6月で10周年を迎えるが、この祝賀会の席上、地域の支援者や宿のリピーターに挨拶をした水谷社長の言葉から。  「日頃の皆様のご愛顧に、先ずもって感謝を申し上げます。始めた当初は、目玉になる観光地がなく、風呂が一つしかなく、古くて汚いので、繁栄の見通しのない旅館だと言われました。そのとき、私たちで出来る努力は、畳を新しくしたり、部屋の壁を塗り替えたり、廊下の床を新しくしたりすることでした。掃除は北海道余市の惠泉塾仕込みで徹底しました。お料理も小樽から先生を招いて腕を磨いていただきました。布団の敷き方も帝国ホテルでコツを教えていただきました。私たちは素人集団です。みんな精一杯、お客様に喜んでいただくために心を合わせて仕えました。この宿は、私が買う前は、隣の工場を当て込んだビジネスホテルと居酒屋でした。私は自分が経営するからには酒とエロ雑誌とアダルトビデオで夜を過ごすビジネスホテルを“別世界に一変したい”と思いました。私は先ず全室からテレビを撤去しました。雑誌も捨てました。喫煙コーナー以外ではタバコも控えていただくことにしました。それだけで、ビジネスマンには何の魅力もない旅館になりました。ところが、街道沿いの喫茶店やレストランが軒並み潰れる中、大鉈振るってリニューアルした丹波の宿は、大方の予想を裏切って経営を続けるだけでなく、新しく派遣された責任者によって売上げを伸ばし、経営を安定させて今日、10周年記念の日を迎えるに至りました。全く皆様のお陰です。」  “人助け”のために旅館の再建に乗り出すという、社長の経営方針がキリスト教精神に徹して貫かれるとき、かえって宗教の臭みを感じさせない、ホッとする旅館として元気に成長を遂げている。丹波の宿が愛される秘訣は従業員の魅力。彼らの精一杯さ、素人だからこその手抜きのない、一生懸命さが美しいのだ。清貧、貞潔、従順、古きよき時代の伝統がここに生きていた。家族のようにして暮らしていた。弱い者に思いやりのある神は人助けに加担してくださり、その手の業を祝福してくださる。それが経済活動であっても決して例外ではない、ということを、丹波の宿10周年記念会は私たちに確信させてくれた。