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8月 惠泉塾に生まれたヤギの赤ちゃん秘話

7月1日、惠泉塾に新しい命が誕生した。ヤギのメアリに2匹の子ヤギが生まれたのだ。朝の9時、ヤギ小屋に

て無事出産を終えた母親メアリはやはり惠泉塾生まれで、その母親はユキ。3世代の同居するヤギ小屋生活が始まった。2匹はいずれもオスで、名前は塾内募集でレオとアルトに決定! 生まれたばかりの長男レオは元気が良く、反対に二男アルトは弱々しく元気がなかった。そこへやってきた塾の責任者木下肇さんは、アルトを掌に包み込むようにして撫でてやりながら命を励まし、元気に育つようにとお祈りした。  不思議なことに、その後、アルトは自分で母ヤギから乳を吸って元気に育っていったが、初め元気だったレオは自力で乳を吸うことが出来ず、栄養不足で日に日に弱っていった。動物飼育の責任者川上民生さんは、育児用粉ミルクを買ってきて哺乳瓶で飲ませることにした。ほぼ人間と同じ、3時間おきの授乳である。このようにして隔離し、保温にも気を遣い、夜も起き出しての自己犠牲の愛が実ってレオはだんだん元気になっていった。しかし、母ヤギに我が子として認知してはもらえないらしく、元気に大きく育ったアルトのように体を舐めてももらえない。代わりにレオは、川上さんを母と慕ってどこまでもついて来る。プルプル尻尾を振ってまるで子犬のようにまとわりつかれ、子ヤギがこんなに人懐っこく可愛いなんて知らなかった、と川上さん。  この生々しい命の現場に、神様によって出会わせられた一人の女性が立ち上がった。それまで惠泉塾でも寝たり起きたり、引きこもり状態だった十代の彼女は母親に誘われて起き上がり、何とその日から、午前午後のヤギのお世話に携わることになったのだ。弱っているレオのことが気にかかる。放ってはおけない。そんな命に対する責任感が目覚め、自分のことより子ヤギのことを気にかける方を選んだ。汚れた子ヤギの毛を上手にシャンプー、ブラッシングしてあげる女性も現れた。目が自分を離れて子ヤギに吸い寄せられ、アニマルセラピー効果が上がる。私たちはみんな主に感謝した。  こうして1カ月、体格こそ弟に負けているが、元気に飛び跳ねるまでに回復した兄のレオは、アルトと一緒に惠泉塾の広いヤギサークルで遊び回るようになった。ふたり(?)は、とても仲がいい。“狼と7匹の子ヤギ”ならぬ“惠泉塾と2匹の子ヤギ”は、童話の世界から抜け出た一幅の絵のように緑の沃野に収まり、純白の命を輝かせて、みんなの人気をさらっている。