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惠泉塾前史~神の国に入る秘訣

(ヨハネによる福音書3:1~15)

1.夜の訪問
ニコデモはユダヤ社会の名士でした。70人から成る最高法院の議員の一人で、6000人にも満たない宗教的に熱心なパリサイ人の中の、有名な教師だった のです。その彼が、ある夜、一人で、イエスのもとを訪れました。過越祭の間にエルサレムでなさった奇跡を見て、長年の研究で自分がなお疑問に思っている “神の国”について、イエスならあるいは適切に答え得るのではないか、と期待したのです。しかし、白昼堂々と訪ねる勇気はありませんでした。社会的影響力 の大きな自分が必ずしも世評の定まっていない若いイエスを訪ねたらどんな反響を呼ぶか、社会の目を恐れていました。自分の身を安全圏に置いたまま、真理の 知識だけを得たいと願って、彼は夜の訪問を選んだのでしょう。

2.聖霊のバプテスマ
イエスはニコデモの心の奥を見抜いて、まだ何も尋ねない先に、神の国を見る秘訣、神の国に入る秘訣は「新しく生まれ直すことである」と教えました。新生 の必要については旧約聖書にも記されていますから、ニコデモもよく知っていました。知りたいのはその方法です。「自分のように年老いた者が新生するには、 どうすればよいのですか。まさか、もう一度母親の胎内に戻れとは言わないでしょうね。」ニコデモは新生のメカニズムにこだわっています。頭で理解して、そ れから実践しようと考えています。
しかし、イエスは、霊の世界の出来事を人間が知的に理解しようとしても無理だ、と言います。知りたければ体験するしかないのです。
聖霊のバプテスマによって、私達は自己中心の古い価値観から解放されて、神中心の新しい観点に立たされ、世界が全く一変して見えます。心に新しい価値観が芽生えて、今まで人間の努力では到底為し得なかったような事をするようになる。それが新生です。

3.犠牲の血潮
十字架のイエスを仰ぐ時、私達はそこに自分を悩ませて来たサタンが釘付けにされているのを見ます。罪にがんじがらめになった私自身がそこで死んでいるの です。これがお前の身代わりに死んだ私だ、だから、お前は無罪になって新しい人生を始められるよ、とイエスが私達に言って下さる。それを信じ、感謝して受 け取る時、この世ならぬ喜びが魂の内に怒涛の如く押し寄せ、神の命・永遠の命が内住します。私達の新生の為には、このイエスの貴い犠牲の血潮が流されてい る、という事実を忘れることはできません。