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惠泉塾前史~私は心こめて歌います

(詩篇 第13篇)

1.祈りに手ごたえなし
真っ暗なトンネルに一人迷い込んで、いつまでも出口に行き着かず、不安と苛立ちの中にあるような信仰状態の時がある。どこにも光明を見いだせず、立ち往 生してしまう。祈っても手ごたえがない。神が分からなくなる。信頼し切っていた恋人に見捨てられたような痛手を心に受けて、うずくまる。
自力で人生を切り開いてきた者は、希望にあふれて力強く前進しているように見える。他力本願をやめて、自分の責任に於いて努力専一に自分の人生を築き上げるようにしなさい、と親切に忠告してくれる。ああ、神により頼む私の生き方は間違いだったのか。

2.神から離れて転落寸前
もう一度、神との鮮やかな出会いを体験したい。あの感激を味わうのでなければ、絶望の淵からはい上がれそうにない。神を見失い、希望を手放して深い闇の 淵に転落してしまう。ああ、私の信仰は、あれは幻想だったのか。単なる私の思い込みだったのか。私が神への信頼を失い、自分の努力だけを頼りに自分の人生 を築き始めたら、人は喜ぶだろう。 やっとあいつも目が覚めて、我々と同じ、まともな社会人になった、と言って。私が激しい生存競争の渦に巻き込まれて悲 鳴を上げたら、彼らは先輩面して言うだろう、これが人生というものだ。無為無策で立ち向かって勝てるはずがない。徒党を組んで策を巡らし、嘘も方便、利用 できる人間は舌先で丸めて仲間に取り込み、うまく使え、と。もし彼らのこの誘いに乗ったら、神よ、私は死んだのです。

3.信じられない時にもなお
私には輝かしい過去がある。あなたと愛し合った、忘れ得ない思い出に満ちた過去が。たとえ今がどんなに暗く、絶望の淵であろうと、主よ、私はあなたの愛 に信頼します。あなたの愛には色あせない永遠の質があった。私は待ちます。あなたは確かに今も生きて働いておられ、我が瞳よ、と愛して下さった私をお忘れ になることなど、決してあり得ないのですから。あなたの側に何事かご計画があって再会の日が遅れているのですね。愛する人よ、今すぐ来て下さい。私を一人 置き去りにしないで下さい。あなたが助けに来て下さる日を期待して、わくわくする思いで待っています。その日、私は凱旋将軍を喜び迎える娘たちのように、 あなたのほめ歌を心こめて歌います。恋に病む私を果実で力づけて下さる主よ、御名は流れる香油のようにかぐわしい。私はあなたを喜びます。