

『地獄へようこそ』福岡空港につき、最初に目にした看板に思わず吹き出した。別府にある7つの地獄温泉を謳ったものだが、余市という自然豊かな約束の地から住宅街のど真ん中へ移住する私たちには笑えない標語だ。
福岡惠泉塾の建物や庭は山本佳子姉、樋渡ご夫妻の御尽力により綺麗に整えられていた。「外面は整えましたので内面をお願いします。」と引き継いだ福岡の霊的実状は外面以上に傷んでいる。私たちは夫婦で「福岡の一致のためにどうぞ私たちをお使いください。」と祈った。すると翌日、突然私の脚が痛みだし数日後には座ることもできなくなりそのまま救急車で運ばれ地元で評判の病院に入院した。レントゲンを様々な角度から何枚も撮り、採血も2回したが医者には原因を特定することはできなかった。
病室のベッドから動けなくなった私とは対照的に、福岡教会では多くの動きが目まぐるしく起こった。私の入院を聞いた森川亜季奈さんは教会で一人になる麻由美さんを心配し、大阪から新幹線ですっ飛んできてくれた。召団員でもない彼女の投げ出しの愛に感化され、平日閑散としていた教会を毎日訪ねて差し入れを持ってきてくれる信徒や、掃除を手伝いに来てくれる信徒、未信者のご主人を巻き込んで車での送迎をしてくれる信徒が現れた。福岡教会からしばらく離れていた信徒との祈り会も生まれていた。
聞けば森川亜季奈さんは体調が優れず心身ともにボロボロの中、福岡に駆けつけてくれたそうだ。しかし、彼女は福岡での私たちとの交わりを通して癒され元気になって帰ってきたことを後日、驚きと喜びと共に母親の敏子さんが報告してくれた。自分の問題を度外視して隣人愛に捨て身になる時、問題は神が解決してくださることを彼女は身をもって証言してくれたのだ。私は入院中、続々と入る嬉しい報告に歓喜し喜びに満ち溢れていた。福岡教会に愛が呼び覚まされるためなら脚の一本や二本安いものだ。実際、月曜日に脚が痛みだし、入院を経て完治・退院したのが土曜日だったので日曜日の礼拝が守られたことは本当に嬉しい。
神のなさることはいつも美しく、必ず群れ全体にとっての最善に繋がっている。主はまことに信じるに足るお方。まことの羊飼い。私の牧師代理として期待される役割は、“全詫の信”をもってこのまことの羊飼いを指し示していくことだ。主が共におられる限り私は謳う、『天国へようこそ』と。
(惠泉福岡教会 山守信幸)