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3月 30歳からの出発 ~ 余市惠泉塾の岡田尚子さんの証しより ~

感謝の度合いが大きいため、それを言葉にするのが難しいと思われますが、これまでの間、惠泉塾においたいただいた御礼と反省を込めて、私の身に起こった出来事を振り返りたいと思います。
人の機嫌をとって生きるような人間関係、教科書に書いてあることを正確に答えねば負けてしまうような競争社会に疲れ果てた私は、3年前、惠泉塾に逃げ込むようにしてやってきました。
親に甘えて他人を信用せず、「世の中、お金なんだ」という寂しい価値観で過ごしていた私は、ある日、強い孤独感から活字も頭に入らなくなってしまいました。けれども、水谷幹夫先生の新刊『神の秘められた計画』は、何とか読むことができました。そして、その後、先生が私の住む地元までわざわざお見舞いに来てくださり、病院でも家でも行き詰まっていた私に、惠泉塾という居場所が与えられたのです。
携帯電話もお化粧もお金も要らない生活は“人を信頼する心”が養われる環境でした。また、真心のこもったお料理は心から感動するほど美味しく、小さな惠泉塾の皆さんは私の小さな声を親身に聞いてくださいました。その他にも惠泉塾のたくさんの方々との出会い、言葉掛けによって私の心はどんどん癒され、減薬にも成功し、元気になっていったのです。
そして、ここで私は完全に打ち砕かれました。人を頼ること、施しを受けることがこんなに嬉しい気持ちになるのだと初めて知りました。間違った生き方をしていた私に、神様は惠泉塾の方々を通して新しい生き方を教えてくださいました。お金さえあれば何でもできる、一人で快適に気持ちよく生きていけると思っていた私は、何と浅はかな人間だったことでしょう。ありのまま、飾らない自分のままでいられる惠泉塾の仲間との共同作業の、何と生きがいのある幸福なお仕事だったことでしょう。もう30歳になる私ですが、この生活共同体で初めて「人は一人では生きていけない」ということを知りました。
人生は、誰もが未踏の道を歩いていく毎日の積み重ねだと思います。けれども、私のように、どう生きることが本当の幸せなのか、分からなくて苦しんでいる方もたくさんおられるのではないでしょうか。
惠泉塾はそんな闇の中で疲れ果て、トンネルの出口が分からなかった私に、言葉では表現できない空気を提供してくれました。それをまだ知らない方々が味わわれたらどんなにいいだろうか、と今の私は思います。それは、人を愛することに徹して、励んでおられる方々のチームワークから生まれる空気でした。私はそれによって元気をもらい、生きる意欲を回復させていただきました。
さらに、今苦しんでいる方々も、その人らしさや個性が輝いて、未来が切り拓かれていけそうな、そんな希望がもてると思います。ですから、私はもっと多くの方々にお伝えしたい、知っていただきたい、と願いながらここで生活させていただいています。最後に、絶望から光を差し出してくださった水谷先生、惠泉塾でお出会いできた方々に心から感謝します。