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9月 いなかぐらしやいたどりの花盛り

北国の夏は足早に行ってしまう。立秋を過ぎるころにはもう秋空に彩られ、風が変わり、雲が変わる。じゃがい

もの収穫季節を迎え、子どもたちも総動員しての芋掘りが始まる。青草の生い茂る勢いがピークとなり、毎日が雑草との戦いだ。  北海道のいたどりは背丈2、3メートルにもなる。地味ながらいたどりの花は今が満開、涼やかな白い小花がレース状に寄せ集められて咲き誇り、放物線様に茎が描き出す曲線が美しい。畑の作物にとっては厄介な“雑草”だが、造物主による鑑賞作としては第一級の“美術品”だ。  8月の惠泉塾は、虹の家オープン記念のオペラ公演、海水浴、土曜午後の若者の集い、と余市の自然と親しむ行事が強烈に焼きついた。惠泉塾家族を支える若者たちが、暑さをはねっ返すような働きを見せてくれた夏でもあった。事前準備、買い出し、大工仕事、草刈り、テント張り、石拾い、配車計画、後片付け…、これらの仕事を、話し合いを重ねつつチームワークを大切にしながら人を生かす働きにつなげることは、いつも簡単に出来るわけではない。試行錯誤の連続、失敗と挫折感の体験も一緒に味わうことになる。  余市に来て2ヶ月になる30代の若者は、それまで衰えて鈍っていた身体が、意外に軽くなり働けるようになっていて、自分でも驚いたそうだ。それは、行事で忙しく夢中で動き回って初めて分かった、と言う。人生いかに生きるべきかに悩んで立ち止まり、仕切り直しを志してやってくる若者を迎える神様のまなざしは温かい。無心になって隣人に仕えるという恵みに浴して生きるとき、人は本来の機能を回復し、気力体力に充実を取り戻し、生きる喜びを見いだせるのではないだろうか。  今年の「若者の集い」のテーマは“開拓者魂”。前人未踏の道も、もし神と共に歩くならば、私たちの弱さを一番ご存知の御方が、最善の方法で最良の道を歩かせてくださるに違いない。私たちの信仰の先輩を見て、そう信じることができるのだ。