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12月 無教会の限界を越えて ~内村鑑三・小池辰雄から惠泉塾へ~

 11月9日(日)、都賀オリーブ山教会で、「惠泉塾友の会」主催の教育講演会が行われた。「W.S.クラ

ーク、内村鑑三、新渡戸稲造の教育魂~21世紀の日本に不可欠なもの~」と題し、北海道大学総長の山口佳三氏と惠泉塾塾頭の水谷幹夫氏が講師となって、大学と惠泉塾という教育現場からのメッセージが語られた。講演後は、小池辰雄記念図書室の見学や講師を囲んでの懇談会が持たれ、燃やされた魂は熱心にビル内を見学して会場去りがたく、6時を過ぎても講師陣に質問していたという。  明治の初め、札幌農学校でフロンティア精神に燃やされて聖書による人格教育のともし火を点火したのはW.S.クラーク博士であり、この人物の教育魂に感化を受けた内村鑑三、新渡戸稲造、宮部金吾らが卒業生として北海道大学の前身、札幌農学校から輩出された。  この札幌農学校の開校から120年後に惠泉塾は誕生している。人生いかに生きるべきかに悩む人たちの“波止場”として北海道の片隅に生まれてやがて20年、ここを必要とする人の数はますます増える一方である。惠泉塾の生みの親、内村鑑三の流れを汲む札幌キリスト召団の、この時代に負っている執り成しの使命は非常に大きいのではないだろうか。  20歳のとき、内村鑑三の最晩年の弟子、小池辰雄と運命的な出会いをした水谷幹夫氏は、ニュースレター253号で次のように述べている。  「私は20歳までカトリック、プロテスタント、教会、無教会など様々な群れで『十字架』の信仰を学び、それ以降、小池辰雄先生から『聖霊』の信仰を学びました。しかし、私の場合はそれだけで終わりませんでした。北海道に渡り、都会生活から離れて、農村で、信仰に基づく生活共同体を営んでみて、『十字架』も『聖霊』も実際に捨て身で隣人を愛する『生活実践』をして初めて、その本質がつかめるものなのだということを、体験的に知ったのです。教会でも無教会でも、『聖書の真理』を言葉としては教えていても、生活実践としては教えていないと私は思います。」  水谷幹夫氏が信仰者として生きた証拠、それが惠泉塾だという。札幌キリスト召団という群れの信仰に命があったので、この共同体は生まれた。イエス・キリストの信仰は120年の時空を超えて生きている。「時はない、すぐに任務に就け」との啓示を受けて走り始めた氏の語る福音が、今世界に向けて新しい提案を発信している。互いに愛し合って一つとなる。それは新しいキリスト教でありながら、実は最も古いキリスト教なのである。