「見よ、新しいことをわたしは行う。今や、それは芽生えている。わたしは荒れ野に道を敷き、砂漠に大河を流れさせる。」(イザヤ書43:19)
2018年5月21日、丹波市春日町に惠泉塾ができたことを記念するオープニングセレモニーとして、地域の方々を招いてのお食事会が行われた。その程よい緊張感のある食卓で、水谷幹夫先生が丹波惠泉塾に込める期待を和やかに語られた。それが丹波新聞社会長の心を捉えたのだろうか、先生の滞在中に取材に訪れた記者により、7月1日の丹波新聞に大きく取り上げられ、これを機に地域に開かれた丹波惠泉塾がスタートすることになった。
「生きづらさを感じている人に、生活改善などで暮らしやすさを取り戻すことを支援する施設『丹波惠泉塾』が、春日町平松に開設された。『札幌キリスト召団』の運営。共同生活しながら、近くの農地で野菜栽培に取り組むなど生産労働を行い、それぞれが抱えている問題を解決していく。入塾者を募っている。
㈱ヴィタポート(水谷幹夫代表)が運営する『丹波の宿 恵泉』の敷地内。水谷代表は同召団の前代表。『惠泉塾』は1996年から展開しており、『丹波惠泉塾』は12番目の設立。職場でいじめにあった人や引きこもり、不登校など、さまざまな理由でこれまで2000人ほどが入塾し、巣立っていったという。水谷代表は『惠泉塾は人生の港。難破しそうな船が立ち寄り、もう一度船出するお手伝いをしたい』と語る。
木造2階建てで、延べ床面積は274平方メートル。2階に塾生の部屋を設けたほか、1階にはダイニングなどを配置した。『余市惠泉塾』でスタッフだった根本修二さん、八重子さん夫妻が塾頭を務める。同塾の元塾生だった長野邦生さんと孫学鵬さんがスタッフとして常駐し、入塾生の悩みを聞くなど生活の支援を行う。入塾者は400坪の農地で季節野菜を栽培し、採れた野菜は自分たちの食卓にのぼるほか、『丹波の宿 恵泉』で使用する。1週間の体験入塾を経て、本入塾となる。」(7月1日付「丹波新聞」より)
塾生は家族として迎え入れられ、ホッとできる雰囲気の中で共に学びながら生活する。この家族の中には㈱ヴィタポートのマリア訪問看護ステーションの職員もいて、毎朝ここから出勤する。以下、職員の一人で看護師の四宮恵美さんの丹波惠泉塾体験記から ―― 。
「私が共同生活をさせていただいて豊かだなあ、楽しいなあと思うのはやはり食卓です。水谷先生ご夫妻を迎えての食卓は、真剣、美味しい、楽しい!に尽きます。野菜を生かす先生の手料理にはみんな感動してしまいます。その後の先生ご不在の惠泉塾にもその余韻から同じ空気が流れていて、食卓を共有する時間がこんなに豊かなものだとは思いませんでした。一方、マリアの訪問先では、食卓を囲まない家庭が何と多いことかと思います。愛し合う食卓を囲む家族がいれば、その人の生活はどんなに変わるだろうか、どんなに心が潤されるだろうか、と思わずにはおれません。惠泉塾で暮らして、一段と食卓の大切さを感じるようになりました。これから丹波惠泉塾にも塾生を迎えますが、食卓こそ愛し合う場です。愛し合う空気の中でこそ人は癒され、その人の“本来の姿”を回復していくのだと思います。初代丹波惠泉塾の核なるメンバー9名は、一人一人異なりすぎるほど不思議な個性たちですが、心一つになって丹波の地で生き悩む魂をお迎えし、愛し合う輪を広げていきたいです。」