2016年1月18日、私は大連周水子国際空港の国際出発ゲートに到着しました。大連佳奇日本語学校と惠泉
塾の共同主催による北海道冬季修学旅行団の子どもたちを見送るためです。子どもたちが次々に出発ゲートに集まってきました。着替えは3着以内という約束を皆守っているようで、スーツケースが軽かったです。出発5日前には大連佳奇日本語学校で団員と親たちに向けて説明会が行われました。親は協力的で惠泉塾の生活に期待しているようですが、空港で携帯電話やアイパッドを弄んでいる子どもたちを見ると、どんな生活が待っているかの実感に乏しく、あまり自分と関係がなさそうでした。 2015年9月から募集を始めた北海道冬季修学旅行。10月末に大連に来られた水谷先生が、修学旅行の趣旨と惠泉塾体験の5つの魅力について語ってくださいました。①心身健康生活の体験、②中国と日本の文化交流、③広い自然に囲まれた農村の雰囲気、④本気で真剣に生きている人間集団の自由で積極的な生き方、⑤お金の遣り取りをせずに暮らせる共同生活の存在、というメッセージでした。そして、このような生活を体験することによって、健康な子どもなら1週間で変化が見られるとおっしゃいましたが、実際、先生のおっしゃった通りになりました。 旅行中は、文泉意匠室の藤井さんが毎日撮った子どもたちの写真をサーバーにアップロードして大連へ送ってくれましたが、日に日に子どもたちの表情に変化が見られました。そして、毎日、私が写真と一緒に親たちに報告していたら、親も子どもの変化に気づき、感謝と喜びのコメントをくれました。1月26日は最後の体験日。午後、皆で惠泉塾の滞在感想文を書きました。そして、その日のうちに曹正一校長先生が感想文を発信してくれました。それを一気に読んでしまった私は、子どもたちが素朴な表現で表している心の成長と、彼らがキャッチした目に見えない愛の空気に感動しました。愛は国籍や言葉や年齢や宗教などの一切を超えていることが分かりました。愛には互いの緊張を和らげ、不安を取り除き、人をたくましく造り変える力があることをもう一度実証できました。きっとこの愛の種は彼らの心の畑に蒔かれているに違いないと確信します。 1月29日午後1時、再び大連周水子国際空港の国際到着ゲートに到着した私の心は、見送ったときと正反対でした。他人の子どもではなく自分の子どもを迎えに来ているような親心に変えられていました。“惠泉塾色”に染められた子どもたちが続々と出てきます。「どの子も可愛い!」と思えました。「少年よ、大志を抱け!」は北海道大学の創始者クラーク先生が札幌を離れる際に残した言葉ですが、私も同じように言ってあげたくなりました。 今回の修学旅行を通して、全く異なった価値観の世界を見た中国の子どもたちが、自分さえよければという風潮に逆らって隣人や国家のために大志を抱くことができますように、と願ってやみません。一方、ここ大連の地にも惠泉塾設立の緊急性を感じています。「愛し合う神の国づくり」のすばらしいご計画の一端に私たちを用いてくださった神様に感謝し、それが中国でも実現成就しますようにと心から祈ります。