惠泉塾に春が来ました。例年より早く、雪がすっかり融けて土肌が姿を表すと、木々の芽吹きは急ピッチで進
み、鮮やかな水仙やクロッカスやカタクリの花、真っ白なイチリンソウや辛夷の花が一斉に咲き始めました。ヤギ小屋にも新しい命が生まれ、「新」「躍」と名付けられた2匹の子ヤギがしっぽをプルプル震わせながらメアリ母さんからおっぱいをもらっています。サークル内を自由に飛び跳ねて駆け回って遊ぶ子ヤギ同士、はや「角つき合わせる」決闘ごっこに興じる姿を見ていると、誰教えるともなく本能が闘争に向かわせる動物の自然体なのだな、と感じます。 惠泉農園を預かるリーダーたちにとってもせわしく活気のある季節が始まりました。野菜畑担当の藤川和夫さんに今年の畑の様子を伺ってみました。 「今年は雪解けが早く、4月に入って土が乾いた畑から順番にトラクターによるロータリー作業を行っています。現在、余市惠泉塾には、9つの大きな畑がありますが、もう一つ、ここ10年ぐらい使っていなかったという土地の開墾も始めました。草刈りや石拾い、小さな木を取り除いたり、土を耕したりする作業を皆で力を出し合ってやっています。5月のゴールデンウィークの明けた頃からジャガイモの植え付けをします。たくさんのジャガイモを植えるので、広くて大きな畑を3箇所使用します。今、その畑のロータリー作業をしていますが、2、3回ロータリーをかけた後、畝作りをして種芋を植え付けます。ジャガイモが終わると1万本のたまねぎの苗を植えます。それから、トマト、ピーマンなどの苗を植える予定です。ビニールハウスの中では、今週からいろいろな野菜の種まきもしており、そこで育苗された苗も、6月ぐらいから畑に移植して育てていくことになるでしょう。楽しみにしていてください。」 果樹園では、洋梨、千両梨、サクランボ、プラム、プルーン、ウメの剪定を終え、丘の斜面に剪った枝を集めて燃やす枝焼きが行われました。葡萄畑では、雪の中に眠っていた幹を起こして縄で針金に括りつける作業をします。これから枝を伸ばして誘引しながら葉を茂らせ、秋にはブドウの実を収穫しなければなりません。新しい惠泉農園オリジナルワインができるまで、もうしばらくの年数がかかりそうです。 野菜畑や果樹園や動物飼育に携わることで、老いも若きも健やかなるも病めるも男も女も命を回復し、互いに愛し合う共同体づくりに励むことが、惠泉塾に暮らす私たちの使命です。大自然の命が私たちに教えてくれることに謙虚に耳を傾けつつ、神様が与えてくださる労働に従事するとき、この聖なる場に働く聖霊の実が、愛、健康、喜び、知恵、自由、平安となって泉のように溢れ出るのです。泉のほとりで生きる喜びが湧いてくるのです。 20年間、変わらぬ命の泉の水を湛え続ける惠泉塾。御名を褒め称えずにはおられません。