ニュース&トピックス

8月 再び、惠泉塾に中国人がやって来た

 再見!と挨拶して1月にお別れした大連佳奇日本語学校から、二度目の修学旅行団が7月23日、余市惠泉塾

にやって来た。中国側のリーダー呉丹さん以下、9歳から55歳まで総勢13名。迎える日本側のリーダーは、前回の修学旅行団員であった孫学鵬さん。孫さんはその後、日本のヴィタポートに入社を希望してヴィザを申請、困難な入国手続きを奇跡的にクリアして来日が実現した29歳の青年。現在、余市惠泉塾で信仰と生活訓練を受けている。今回も修学旅行の手続き一切を呉丹さんと協力してやり遂げ、通訳として、また指導者として活躍した。6月に札幌キリスト召団に入会、さらに先頃、召団への献身を表明し、祖国と日本の福音伝道のために神に捕らえられた期待の星である。孫さんの母親も今回の旅行団に加わった。息子が命を賭けようとしている惠泉塾を一目見てその目にしっかり焼き付けておこうとの思いが滲んでいた。  一週間の日程の初日、日曜日は惠泉塾内の見学とオリエンテーションと彼ら自身による手作り餃子パーティー、2日目は惠泉塾合同海水浴、3日目以降は惠泉塾の通常時間割に沿っての作業や交流、最終日、金曜日には修了証書授与式、土曜日の朝、惠泉塾を後にして小樽に向かうという盛沢山な日程である。その前日にはショップヴィタでのお食事も味わってもらい、余市での日々を満喫してもらう趣向を凝らした。  惠泉塾での朝の聖書の学びに合わせて、中国側が用意したプログラムがユニークである。早朝4時からの30分は日記、読書、前日の反省、黙想。4時半から5時半まではその分かち合い。5時半から一斉に行う中国古典の朗読。最後は日本語の学習。挨拶や簡単な会話を学んで即戦力にしたいとの願いがこもる。  その折の分かち合いから――。海水浴ではチームワーク意識が高く、秩序があり、混乱なく進行していて感心した。日本人の働く姿勢を最後のごみ拾いに見た。海で汚れを洗い落としてから捨てていたことが注目される。海水浴の帰りに銭湯へ行ったとき、人が多かったのだが、日本人は礼儀正しく外で待ってにこやかにしていた。中国人ならどっと入って行くところだ。 非凡な才能を発揮する一人の英雄を生み出そうとする中国式の教育より、平凡でもいい、持っている力を精一杯真面目に発揮する惠泉塾の教育の方があるべき姿ではないか。木工所の見学では木下所長の木に対する愛情を感じ、利益優先・大量生産・大量消費の中国の商売のあり方に疑問を持った。一番良い材料と一番良い技術で一番良いものを必要な人に提供すべきではないか。朝の学びで全員がとても静かに聖書に向かっている姿を目の当たりにし、信仰によってこんなにも団結できるのかと驚いた。何より時間を大切に使うことを学んだ。ここへ来てから明日のことは考えなくなった。目の前に置かれた環境に溶け込んで自分というものを消し、無になって惠泉塾を味わいたい。桑の実を摘んで食べていると子どもの頃に戻ったようで、我々は自然界の子どもであるということに気づかされた。 老若男女の集うこのユニークな修学旅行団が、新鮮で意義ある惠泉塾体験を積み、そのスピリットを中国に持ち帰ってくれますように。