奇しくも宗教改革500周年の今年、札幌キリスト召団は創立35周年を迎えた。わずか35年で世界に翼を広
げる大樹に育った召団は、ある意味、宗教改革500年でなしえなかった、秘められた神の計画、神の国づくりをかたちにすることに成功をみていると言える。 創設者、水谷幹夫師は、牧師になりたくなかった人、結婚したくなかった人、家庭を営みたくなかった人、大きな教会を建てたくなかった人、大勢の信徒を養いたくなかった人である。ただ、20歳のときに出会った聖書の神との関係を何よりも大切にし、誠実の限りを尽くしてこの見えざる御方に仕えてきた。一人の人間が神と共にあるとはどういうことか、神の御力がどんなに絶大なものか、35年の召団の歴史が雄弁に語っている。 ところで、師が家庭を持ち、家庭集会を開き、宗教法人となり、惠泉塾を始めてからも、その信仰姿勢において一貫していたことがある。それは“裏町の修理工場”であろうとして目の前の現実に向き合い、どんな人でも出会った人には精一杯仕えたということだ。 ここに札幌キリスト召団の秘密がある。人の目に小さいと映る仕事にも命懸けで向き合い、神に喜ばれるためだけに働くとき、神は大きな祝福をもって報いてくださるのだ。 今から5年前、師は朝の学びで語られた。「札幌キリスト召団の福音はこの時代、この社会で終わらない。このグループは残る。召団の福音が生んだ惠泉塾の働きは、もし水谷一人で終わるとしても伝説になる。人の心に残る。純粋で本質的な仕事だから。この仕事、この価値観が永遠性を持っているということは、やがて、時代と社会が証明するだろう。」 このとき、師はこの働きが「終わるとしても」と言われた。しかし、終わらせたくはない。では、そのためにどこを目指して前進すればよいのか、5つの観点から提案したい。 ≪召団の基調音≫ キリストと共に死んでこそキリストと共に甦る。己に死ななければ、甦りの命、復活の命にあずかることはできない。この札幌キリスト召団の基調音(キートーン)にチャンネルを合わせ、雑音を排して耳を傾け、実践すること。 ≪宣教の特徴≫ 札幌キリスト召団は地下水である。惠泉塾が地下で元気に活動すれば、地上の樹木は青々と葉を茂らせ、豊かに実を結ぶ。皆が笑顔で暮らせるように、我々は陰で見えない働きをしよう。この宣教の姿勢をこれからも貫くこと。 ≪生活共同体づくり≫ 次世代に確かにバトンを手渡すために、神様は水谷師を通して召団の教えを見えるかたちにしてくださった。惠泉塾という理想に近い共同体のサンプルを残してくださった。師の衣鉢を継ぎ、いよいよ純粋に神様中心の共同体であろうとし、無者となって仕えること。 ≪使徒時代の信仰≫ 既存の教会との違いを知ること。真理の全体が語られているこの召団の福音を、使徒時代そのままに信じて生活し、聖霊を求めて祈り、新しく創造されること。愛する者、神の命に生かされる者となって、たった一人でもリバイバルを起こすほどの本物の信仰者を目指すこと。 ≪宗教改革者の自覚≫ 一人一人がこの時代の宗教改革者であることを自覚すること。信仰を生活することを通して観念信仰を打破し、どの教会でもまだ成功を見ていない、神の秘められた計画実現のために私は選ばれたのだ、と存在意義を自覚すること。